彼らと彼女たちのPAGES

無駄に長い10連休。
私は、家からスーパーの買い物以外、ほとんど外出しない無駄な日々を過ごしていた。

 

「平成」から「令和」になったと、日本中が浮かれている中、
私も浮かれた足でやっと遠出をした。

向かった先は、横浜アリーナ
Sexy Zoneがいる場所だった。

私は4人に逢うためにウキウキと出かけた。

 

横浜駅で降りてからずっと、私は色を見ていた。

真っ青なスカート、赤いワンピース、紫のTシャツ、オレンジの髪飾り。

「私はあなたが大好きだ」
色だけで伝えられる手段を作ったジャニーズと、その手段を楽しそうに、おしゃれをして伝えようとしているセクラバさんたちがとても愛おしく思った。

 

Sexy Zoneのコンサート初参加の私。
コンサートというもの自体、参加3回目の私。
この時はまだ、コンサートは4人が作っているものだと私は思っていた。

 

 

 

誰もがいつだって、自分は「特別」であると信じている。
「特別」を期待して、夢を見てる。
それは一般人でも芸能人でも関係なく、みんな。
だけど、「特別」は思うように現れなくて、だから、誰かに夢を託したり、小さな特別で満足したことにしている。ほとんどの場合。

 

アイドルってすごいなって思った。
「特別」をたくさん作るんだ。
「僕はちゃんと君を見ているよ」MCの些細な言葉にそんなセリフが見え隠れしているし、たぶん会場全員分に手を降り、その場だけの特別な笑顔や表情を向ける。
うちわに描いたお題は見つけたら叶えてくれる。流れ星みたいに。
たくさんの人が思ったと思う。「3回くらい目があった」。
それ、多分、ほんとうにあってる。

アイドルって、誰かに夢を見させる努力家なんだ。

想像できるんだ。
「どうしたらファンは喜んでくれるのか」をたくさん考えてくれたんだろうな。
選曲、演出、それぞれ個人の表現、アイドルにとっては大量生産されたものかもしれない笑顔や些細な言葉にさえも、どこに瞳のレンズを向けても、もう永遠に見ることができない「特別」が写る。
MCもちょっとふざけながら、ちょっと・・いや、ほとんど下ネタだったんだけど(笑)、「楽しませる」をその場で本気で考えてくれてる。4人がただ話すだけでなく、会場全体を巻き込むことで「特別」を作ってくれる。

そこにある想いを何度も想像して、私は愛を歌うだけがアイドルじゃないのだと思ったし、もはや愛が擬人化して出てきてしまったのがアイドルなのではないかと疑った。 

 

想いがつまったステージで、私はいっぺんに何本もの映画を観た気がした。それぞれの想いや恋や愛がふわふわと会場の中心に集まっていくみたいに。たくさんの物語がそこにはあった。

だから、違うんだ。
コンサートは、アーティストだけが作ってるものなんかじゃなかったんだ。

 

MCへの反応、コール、ソロ曲になると、会場全体がそのメンバーのカラーになること。ビックリした。私には知らないルールだった。満場一致の一体感。
初心者のくせに予習をしなかった私は、会場のその一体感にただただ嫉妬した。
そして、最後まで、綺麗な高音のキャーを大声で歌えることに、私は恐怖すら感じた。

ケンティーのソロ曲だって、あのコールは難しいでしょ。なのに、みんな叫んでた。「愛」を何度も叫んでた。なぜか私はありがとうって思った。

 

最後にね、
勝利君が「サイリウムが5色なのが嬉しい」って言ったら、会場が緑になったんだ。
それを微笑みながら見ている真っ黒のスタッフTシャツを着ている人たちの表情を私は見逃さなかった。

 

4人はたぶん思ってる。
 「いい思い出になる特別なステージを見せたい」って。

ファンは思ってる。
「がんばってくれている4人に、いい思い出になる、特別な景色を見せたい」って。

スタッフだって思ってる。
「4人にもファンにも、特別な思い出になる完璧を見せたい」って。

 

それぞれがそれぞれのたくさんの「特別」を願って、
みんなの「特別」を、みんなで叶えていた。  

 

 

どうか。
あの優しい世界を作った、あの会場にいた4人とスタッフとセクラバさんたち全員に、

たくさんの楽しくて優しいPAGESがたまっていきますように。

そして、今日の緑の景色を超える、たくさんのPAGESを
緑を着るあの子が、その瞳のシャッターで切り取れますように。